書家選びで迷った場合のポイント
現代の看板や商品名は、フォントの文字が多く、手書きの筆文字は少なくなりました。しかし、筆文字しか似つかわしくないような場合は必ずあります。温もり、手作り感、味わい、真心、和風感、伝統、そういったイメージ全てを一瞬で伝えることのできる文字は筆文字しかないからなのだろうと思います。
看板や商品パッケージに使用する筆文字は、その商品や店の顔とも言える重要な要素です。書家に依頼する際には、多くの作品サンプルを見比べて、技術やセンスを見極めることが大切です。あなたの商品や店に最も合う書家、良い筆文字を書いてくれる書家を見分けるためのポイントについて記します。
「書家」は千差万別
書家・書道家と称する人に頼めば、自分の期待通りにしっかりした筆文字を制作してくれるとは限りません。筆文字書きの仕事を得ようとする場合、誰でも自らを書家や書道家と称することができますので、書家や書道家というプロフィールの人は、ほぼ素人の書き手から熟練の職人まで実に様々です。その中から自分にとって最適な書家を見い出すのは、なかなか難しい作業です。
まずは基本的な技量をチェックしてみる
書写の教科書の手本のような字が書けるかどうかを見て、最低限の技量を見分けます。書家であれば書写の教科書と同等の字を書けるのは当然のことです。もしその技量すら怪しいと直感的に感じる書き手であれば、おすすめできません。
書写の教科書のような字を書けるからといって、あなたが求める表現力も備わっているとは限りません。しかし、その最低限の能力が未熟な書き手が、いくら個性的で斬新で躍動的な表現をしたとしても、どうしても品のなさが際立った筆文字になってしまいます。屋号や商品名などで長く使いたい筆文字であるならば、品のある美しさと力強い個性を両立させられる書き手である必要があります。
まずは基本的な技量をチェックし、次にあなたの感性に響くような表現をする書家は誰なのかを比較検討してお選びになれば、注文後に後悔するようなことにはおそらくならないかと思います。